PROCEDURE

美容室の開設届と管理美容師|保健所と税務署へ、何をいつ出すか

美容室の開業に向けて、書類の準備と工事・採用の日程を組んでいる方のための記事です。保健所への美容所開設届と、税務署への開業届を分け、どの書類を誰の分までそろえ、いつ提出・確認するかを整理します。

美容師法とその施行規則、所得税法、自治体の案内をもとに、開設届の記載項目、添付書類、管理美容師、使用前の確認をたどります。業態や営業場所の検討から一歩進み、物件・スタッフの条件を提出先別の準備日程に落とし込むことを目指します。

書類をそろえる方は開設届と添付書類へ、開業日を決める方は準備日程の整理へ、税務の提出期限は税務署への開業届から確認できます。

SHORT ANSWER

保健所への美容所開設届は営業を始める前に出し、構造設備の確認を受けてからでないと美容所を使えません(美容師法第11条・第12条)。管理美容師が要るのは、美容師である従業者が常時2人以上になる美容所です(第12条の3)。税務署への開業届は所得税法第229条で、2026年1月1日以後の事業の開始等については、その年分の確定申告期限までです。

構造設備の細かい基準は都道府県の条例で定めるため、全国一律ではありません。以下では条文で決まっている部分と、自治体で変わる部分を分けて示します。

1. 出す先は2つある

「開業届」という言葉は、美容室の開業では2つのものを指します。保健所へ出す美容所開設届と、税務署へ出す個人事業の開業・廃業等届出書です。どちらも開業のときに出しますが、性質がまったく違います。

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出す先は2つ 保健所 美容師法 美容所開設届 あらかじめ(第11条) 構造設備の確認 受けた後でないと 使用できない(第12条) 営業を始める条件 税務署 所得税法 開業届 確定申告期限まで (第229条) 青色申告承認申請 開業から2月以内 税の取り扱いを決める
美容師法・美容師法施行規則・所得税法の条文をもとに当社が作図。

保健所の手続きは、美容所を使用する前に完了させる必要があります。税務署の手続きには、それぞれ法律で定められた提出期限があります。どちらか一方で済ませず、営業開始までの工程と税務の期限を別に管理します。

順番も違う

美容所は開設の届出をし、構造設備の確認を受けてから使用します。税務署への開業届は、2026年1月1日以後の事業の開始等について、その年分の確定申告期限までです。工程表には、保健所への事前相談・工事・検査・営業開始と、開業届・青色申告承認申請の期限をそれぞれ書き入れます。

2. 保健所への開設届に何を書くか

美容師法第11条は、美容所を開設しようとする者は位置・構造設備・管理美容師その他の従業者の氏名などをあらかじめ都道府県知事に届け出なければならない、と定めています。「あらかじめ」なので、開店してから出す書類ではありません。

実際に届出書へ書く項目は、条文ではなく美容師法施行規則の第19条に9つ並んでいます。提出先は美容所の所在地の都道府県知事、保健所を設置する市の市長、または特別区の区長で、窓口は所在地を管轄する保健所になります。

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美容所開設届に書く9項目 美容師法施行規則 第19条第1項 1 美容所の名称及び所在地 2 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、所… 3 管理美容師を置く美容所にあっては、管理美容師の氏名… 4 美容所の構造及び設備の概要 5 美容師の氏名及び登録番号並びにその他の従業者の氏名 6 美容師につき、結核、皮膚疾患その他厚生労働大臣の指… 7 開設予定年月日 8 同一の場所で現に理容所が開設されている場合は、当該… 9 同一の場所で理容所の開設の届出がされている場合は、… 赤は、店の作りと人の体制で内容が変わる項目
美容師法施行規則(平成十年厚生省令第七号)第19条第1項をもとに当社が作図。図では項目名を短く表示しています。全文は下の表を参照してください。

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項目 記載する内容
1 美容所の名称及び所在地
2 開設者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称、所在地及び代表者の氏名)
3 管理美容師を置く美容所にあっては、管理美容師の氏名及び住所
4 美容所の構造及び設備の概要
5 美容師の氏名及び登録番号並びにその他の従業者の氏名
6 美容師につき、結核、皮膚疾患その他厚生労働大臣の指定する伝染性疾病がある場合は、その旨
7 開設予定年月日
8 同一の場所で現に理容所が開設されている場合は、当該理容所の名称
9 同一の場所で理容所の開設の届出がされている場合は、当該理容所の開設予定年月日

美容師法施行規則 第19条第1項より作成。8番と9番は、同じ場所で理容所を併設する場合の項目です。

添付する書類は3種類ある

同じ第19条の第2項から第4項に、添付書類が定められています。届出書だけでは受け付けられないので、準備の期間を見ておく項目です。

添付書類

  • 美容師について、結核・皮膚疾患その他厚生労働大臣の指定する伝染性疾病の有無に関する医師の診断書(第2項・全員分)
  • 管理美容師を置く美容所は、その管理美容師が第12条の3第2項の要件に該当することを証する書類(第3項)
  • 外国人が届出をする場合は、国籍等を記載した住民票の写し(第4項)

診断書は美容師ごとに要るので、開業時のスタッフが決まっていないと揃いません。人を採る時期と届出の時期がつながっているのは、この添付書類のためです。

なお、この9項目や添付書類に加えて、自治体が独自に求める書類があります。横浜市の場合、届出者が法人であれば登記事項証明書の添付が必要です。全国共通の書式に自治体ごとの上乗せがある、という構造になっています。

3. 届け出ただけでは、まだ使えない

開設届を出したら営業できる、と読み違えると工程が崩れます。美容師法第12条は、美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ、美容所を使用してはならないと定めています。

第13条は、その検査の基準にあたる衛生上の措置です。常に清潔に保つこと、消毒設備を設けること、採光・照明・換気を十分にすること、そして都道府県が条例で定める措置を講ずることの4つが並んでいます。第12条と第13条はセットで読む条文です。

この確認が、開業実務の最後の関門です

内装工事が終わっていないと検査を受けられません。工事の完了日、検査の日程、営業開始の予定日を逆算して組む必要があります。工事が延びれば、そのぶん営業開始も後ろにずれます。

厚生労働省の衛生行政報告例では、美容所の新規開設に伴う使用確認件数は令和6年度に12,433件でした。年度中の確認件数であり、開業した人の人数や年度末の施設数とは違います。自分の検査日程は管轄保健所で確認してください。

内装工事が終わり、什器が据え付けられた美容室の内観。カウンターにはまだ道具も商品も置かれていない
確認を受けるのは、この状態になってからです。什器と設備が据え付けられ、構造設備として完成していないと検査の対象になりません。規模をつかむためのイメージで、特定の店舗の写真ではありません。

検査の日程は保健所の予定で決まるため、こちらの都合だけでは動かせません。開設届を出す時点で検査日の見込みを聞いておくと、内装業者に伝える完了期限が決まります。

開業までの順序と総額を見る

4. 構造設備の基準は、店を開くエリアで変わる

何をどこまで備えれば確認が通るのか。ここは全国一律ではありません。美容師法第13条が、美容所について講ずべき措置の一部を都道府県の条例に委ねているためです。基準の本体は各自治体の「美容師法施行条例」と「美容師法施行細則」にあります。

自治体差がどのくらい出るのか、横浜市を例に見ます。同市では平成26年10月1日から条例が改正され、洗髪専用の設備を設けることが義務づけられました。ただし頭髪に係る作業を行わない施設には適用されないため、まつげエクステの専門店のように髪に触れない業態は対象外です。改正前に届出を済ませた既存の施設にも適用されません。

横浜市の例

  • 洗髪専用の設備を設けること(平成26年10月1日以降に開設の届出を行う施設)
  • 頭髪に係る作業を行わない施設は、洗髪設備の対象外
  • 届出者が法人の場合は、開設届出書に登記事項証明書を添付

洗髪設備が要るかどうかで、給排水の配管と工事費が変わります。同じ間取りの物件でも、自治体が違えば必要な工事が違うということです。物件を決める前に、その自治体の条例と細則を確認する理由がここにあります。

美容室のバックヤード。ステンレスの流しと消毒用の器具、たたんだタオルが棚に並んでいる
確認を受けるのは、こうした流しや器具の保管を含めた設備全体です。ただし何をどこまで備えるかは条例で決まるため、同じ設備でも自治体によって求められる内容が変わります。イメージであり、特定の店舗の写真ではありません。

理容所と同じ場所で開くときの条件

美容所と理容所は、原則としてそれぞれ専用の場所が必要です。ただし理容師法と美容師法の施行規則が平成28年に改正され、条件を満たす場合に限って同一の場所で開設できるようになりました。横浜市の資料では、その条件が3つ示されています。

  • 従事者全員が、理容師免許と美容師免許の両方を持っていること
  • 管理理容師と管理美容師の両方がいること(両方の資格を持つ人なら1人でも可。従事者が1人だけの場合は設置不要)
  • 理容所と美容所の両方の適合確認を受けられる構造・設備であること。店舗の床面積は13.2平方メートル以上(従業員控室・トイレ等を除く)

①と②は施行規則の改正に基づくものですが、床面積の数値は横浜市の資料に書かれているものです。理美容を1店舗で兼ねる構想があるなら、開設予定地の保健所で条件を確認してください。従事者全員が両方の免許を持つ必要がある点は共通なので、採用の条件そのものが変わります。

5. 管理美容師が要るのは、どういうときか

美容師法第12条の3第1項は、美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、美容所ごとに管理美容師を置かなければならない、と定めています。ここで数えるのは「美容師である従業者」です。

この限定が結論を変えます。受付や事務のスタッフが美容師免許を持たないなら、その人は数に入りません。美容師が1人しかいない店に受付を1人置いても、条文上の「2人以上」にはあたらないということです。

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管理美容師が要るかどうか 数えるのは「美容師である従業者」だけ 美容師が1人 受付を置いても1人のまま 設置は不要 美容師が2人以上 常時2人以上であること 管理美容師が必要 開設者本人が要件を満たせば兼ねられる 免許取得後3年以上の業務経験+指定講習会の修了
美容師法第12条の3をもとに当社が作図。

なるための要件は同条第2項にあります。美容師の免許を受けた後3年以上美容の業務に従事し、都道府県知事が指定する講習会の課程を修了した者です。開設者自身がこの要件を満たしていれば、管理美容師を兼ねられます。

ひとりで始めて、あとから人を増やす計画なら、この条件を越えるタイミングが先に分かります。2人目の美容師を採る前に講習を済ませておくか、要件を満たす人を採るか。採用の計画と一緒に決める項目です。

6. 講習の基準は18時間以上

講習会の中身は、美容師法施行規則の第23条が基準を定めています。都道府県知事が講習会を指定するときの基準なので、どの都道府県で受けても下回ることはありません。

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科目 時間数
公衆衛生 4時間以上
美容所の衛生管理 14時間以上
合計 18時間以上

美容師法施行規則 第23条第1号より作成。条文は「その時間数が同表の下欄に掲げる時間数以上であること」と定めているため、これは下限です。

同条は教える側の要件も定めていて、医師・歯科医師・薬剤師・獣医師、またはこれらと同等の知識及び経験を有すると認められる者が教授することとされています。講習の終了にあたっては試験その他の方法で修了の認定を行い、認定を受けた人に講習会修了証書が交付されます。開設届に添付する「要件に該当することを証する書類」のうち、講習を修了したことはこの証書で示します。ただし要件はもう1つ、免許取得後3年以上の実務があります。こちらをどう確認するかは保健所によって扱いが変わるため、何を用意すればよいかは届出先に確認してください。

受講料、開催日、申込締切は指定団体のその年度の案内で確認します。管理美容師が必要になる予定日から逆算し、受講だけでなく修了証書を用意できる日も確認しておくと、採用と開設の工程を合わせられます。

7. 税務署への開業届は、いつまでに出すのか

所得税法第229条は、新たに事業所得を生ずべき事業を開始した場合、届出書をその事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに税務署長へ提出しなければならない、と定めています。国税庁の手続案内も同じ書き方です。

提出先は納税地を所轄する税務署長です。e-Taxでも、書面を持参または送付しても提出できます。書式は「個人事業の開業・廃業等届出書」という1枚です。

期限は条文で確かめてください

この提出期限は、2026年1月1日以後の事業の開始等から適用されます。それより前の開業等は従前の取扱いなので、過去の案内にある「1か月以内」を、対象時期を見ずに誤りとは判断できません。自分の開業日と、国税庁の現在の手続案内を照合してください。

ただし期限に余裕があることと、後回しにしてよいことは別です。次の青色申告の承認申請には短い期限があり、そちらに間に合わせるなら開業届も同じ時期に出すことになります。

8. 青色申告の申請には、短い期限がある

所得税法第144条は、青色申告の承認を受けようとする居住者はその年3月15日まで、その年1月16日以後新たに業務を開始した場合には業務を開始した日から2月以内に申請書を提出しなければならない、と定めています。

年の途中で開業する場合は、この2月以内が実質的な期限です。開業届の期限(その年分の確定申告期限まで)より短いため、実務上は青色申告の期限に引っ張られることになります。2枚を同じタイミングで出す理由はここにあります。

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書類 期限 根拠
美容所開設届 あらかじめ(営業開始前) 美容師法第11条
構造設備の確認 確認を受けた後でなければ使用不可 同第12条
開業届 その年分の確定申告期限まで 所得税法第229条
青色申告承認申請 その年3月15日まで(1月16日以後の開業なら開業から2月以内) 同第144条

美容師法・所得税法の条文、および国税庁の手続案内より作成。開業届の期限は2026年1月1日以後の事業の開始等が対象です。年の1月1日から1月15日までに開業した場合の青色申告の期限は、その年の3月15日です。

国税庁の案内には、承認の通知に関する扱いも書かれています。青色申告の承認を受けようとする年の12月31日(その年の11月1日以降に業務を開始した場合はその年の翌年2月15日)までに処分の通知がなかったときは、承認されたものとみなされます。通知が来ないまま年を越しても、それ自体は却下を意味しません。

9. 提出先と準備日程を整理する

開設予定地、図面、スタッフの一覧、営業開始の予定日を手元にそろえます。保健所と税務署を分け、必要書類、準備する人、提出する時期、確認が済んだかを日程表に書き込んでください。

日程を組む前に確認すること

  • 物件・図面の段階で、その自治体の区画・面積・洗髪設備などの条件を保健所に確認する
  • 工事完了の予定日を伝え、開設届の提出と検査の予約をいつ行うか確認する
  • 施術するスタッフを一覧にし、診断書など本人ごとにそろえる書類の準備状況を確認する
  • 管理美容師の設置要件をスタッフの構成と照合し、必要な証明書や講習の予定を確認する

保健所で確認した日程を、施工者とスタッフにも共有します。書類を出した日、検査を受ける日、営業を始める日は別の欄にし、必要な確認を終えたかまで記録してください。税務署への開業届と青色申告の申請も、それぞれの期限を日程表に残します。

自宅の一室で始める場合は、施術室と居住部分の区画や動線が分かる図面を用意します。未確認の項目は確認先と回答待ちの内容を残し、工事や採用の変更があれば、提出書類と日程の両方を見直してください。

当社にご相談いただけること

物件を決める前の段階から、その自治体の条例で何が要るか、工事と検査の日程をどう組むかを一緒に確認します。当社は工程の組み立てと確認先の整理をお手伝いするもので、届出書の作成や提出の代行は行いません。保健所への届出は開設者ご本人の手続きで、税務署への届出は税理士の業務にあたります。

開業の手続きについて相談する

当社は、ご相談の結果としてフランチャイズ本部や事業者をご紹介する場合に、紹介料・広告料・成果報酬といった対価を先方から受け取る可能性があります。判断材料は本サイトと同じ計算を優先し、条件が合わない場合は見送りをお勧めします。

10. 開いたあとにも、出す届出がある

開設のときだけ書類を出せば終わり、ではありません。美容師法第11条第2項は、届け出た事項に変更があったとき、または美容所を廃止したときも届け出なければならないと定めています。開設届に書いた9項目が、そのまま変更届の対象になります。

営業している美容室の店内。椅子の向きがそろっておらず、背もたれにタオルが掛かり、道具が出ている
上の検査前の写真と同じ場所が、開業後はこの状態になります。人が入れ替わり設備に手を入れれば、そのたびに届出の対象になります。イメージであり、特定の店舗の写真ではありません。

実務で見落とされやすいのが、人の出入りです。施行規則第20条は、変更の届出が第19条第1項第6号の事項の変更または美容師の新たな使用に係るものであるときは、その者につき疾病の有無に関する医師の診断書を添付しなければならないとしています。美容師を新しく雇ったら、その人の診断書を添えて届け出る、ということです。

変更の届出が要る場面

  • 美容師を新しく雇ったとき。その人の医師の診断書を添付します
  • 管理美容師を置いたとき、または交代したとき。新たに管理美容師となる者が要件に該当することを証する書類を添付します
  • 美容所の名称や所在地が変わった、開設者の氏名や住所が変わった
  • 構造設備を変えたとき。変更の届出に加えて、その構造設備について改めて確認が必要になり得ます
  • 美容所を廃止した

美容師が1人だった店に2人目を迎えて常時2人以上になるときは、変更の届出と管理美容師の設置が重なります。診断書と、管理美容師の要件を証する書類の両方が要るということです(すでに管理美容師を置いている店なら、必要なのは診断書だけです)。採用を決めてから講習を探すのでは間に合わないのは、この重なりのためです。

店を引き継ぐ場合は、届出の性質が変わる

既存の店を譲り受けて始めるときは、開設届ではなく承継の届出になることがあります。美容師法第12条の2は、開設者について譲渡・相続・合併・分割があったときに、譲受人や相続人などが開設者の地位を承継すると定め、承継した者は遅滞なく届け出るものとしています。

この違いは工程に効きます。新規の開設なら構造設備の確認を受けるまで使えません。地位を承継する場合、施設は前の開設者のもとで確認を受けた状態です。ただし内装や設備に手を入れるなら、その構造設備について改めて確認が必要になり得ます。承継にあたる取引かどうかも契約の形で決まるため、造作だけを買って自分の名前で新しく開設するなら、通常どおり開設届と確認が要ります。

居抜きで引き継ぐという言い方だけでは、設備を引き継ぐのか、事業ごと承継するのかが分かりません。契約案と変更予定の設備を整理し、物件を決める段階で保健所に手続きを確認してください。開業後も、スタッフや設備に変更が生じたら、変更内容・必要書類・提出先を記録して確認する流れを続けます。

よくある質問

美容室の開業届は出さなくてもいいですか?
出す必要があります。ただし「開業届」と呼ばれるものは2つあり、届出先も根拠も違います。保健所への美容所開設届は美容師法第11条が定めるもので、これを出して構造設備の確認を受けなければ美容所を使えません(第12条)。税務署への開業届は所得税法第229条が定めるもので、2026年1月1日以後の事業の開始等については、その事実があった日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに提出します。保健所への届出は営業そのものの前提条件なので、出さずに営業を始めることはできません。
管理美容師になるのは何年からですか?
美容師の免許を受けた後、3年以上美容の業務に従事し、都道府県知事が指定する講習会の課程を修了した人が管理美容師になれます(美容師法第12条の3第2項)。講習会の基準は美容師法施行規則第23条にあり、公衆衛生4時間と美容所の衛生管理14時間の合計18時間以上を教授し、修了の認定を受けた人に講習会修了証書を交付するものとされています。受講料と日程は都道府県ごとの指定団体が定めるため、年度によって変わります。
一人で開業する場合も管理美容師は必要ですか?
必要ありません。管理美容師を置く義務があるのは、美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所です(美容師法第12条の3第1項)。数えるのは美容師である従業者なので、受付や事務のスタッフが美容師免許を持たない場合は含みません。開設者自身が要件を満たしていれば、管理美容師を兼ねられます。人を増やすときにこの条件を越えるため、採用の計画とあわせて確認しておく項目です。
美容所開設届はどこに出せばいいですか?
美容所の所在地の都道府県知事、保健所を設置する市の市長、または特別区の区長に提出します(美容師法施行規則第19条第1項)。実務上の窓口は所在地を管轄する保健所です。届出書には美容所の名称と所在地、開設者の氏名と住所、管理美容師を置く場合はその氏名と住所、構造及び設備の概要、美容師の氏名と登録番号など9項目を記載し、美容師の疾病の有無に関する医師の診断書を添付します。
保健所の検査はいつ受けますか?
開設の届出を出したあと、営業を始める前に受けます。美容師法第12条は、美容所の構造設備について都道府県知事の検査を受け、第13条の措置を講ずるに適する旨の確認を受けた後でなければ美容所を使用してはならないと定めています。内装工事が終わっていないと確認を受けられないため、工事の完了日と検査の日程、そして営業開始の予定日を逆算して組む必要があります。厚生労働省の衛生行政報告例では、この使用確認は令和6年度に全国で12,433件ありました。

本ページで使用した条文と出典

  • 美容師法(昭和三十二年法律第百六十三号)第6条・第8条・第11条・第12条・第12条の3・第13条。e-Gov 法令検索から2026-08-10に原文を取得
  • 美容師法施行規則(平成十年厚生省令第七号)第19条(開設の届出)・第20条(変更の届出)・第23条(講習会の指定基準)。e-Gov 法令検索から2026-08-12に原文を取得
  • 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第229条(開業等の届出)・第144条(青色申告の承認の申請)。e-Gov 法令検索から2026-08-12に原文を取得
  • 国税庁「個人事業の開業・廃業等届出手続」「所得税の青色申告承認申請手続」。2026-08-12に手続案内を取得。開業届の提出時期は2026年10月25日に国税庁の手続案内で再確認
  • 財務省「令和5年度税制改正の解説(所得税法等の改正)」。開業等の届出期限の改正と適用時期を参照(2026年10月25日確認)
  • 横浜市 医療局 生活衛生課の配布資料(令和5年5月)。美容師法施行条例の改正による洗髪設備の義務、法人の登記事項証明書、理容所と美容所を同一の場所で開設する条件
  • 厚生労働省 衛生行政報告例 令和6年度 第10表(令和6年度・2025-10-21公表)。使用確認件数12,433件

構造設備の基準は都道府県の条例で定めるため、本ページに挙げた横浜市の内容がそのまま他の自治体に当てはまるわけではありません。実際の判断にあたっては、開設を予定している場所を管轄する保健所にご確認ください。講習会の受講料と日程は都道府県ごとの指定団体が定め、年度によって変わります。

当社の立場について。当社は、ご相談の結果としてフランチャイズ本部や事業者をご紹介する場合に、紹介料・広告料・成果報酬といった対価を先方から受け取る可能性があります。判断材料は本サイトと同じ計算を優先し、条件が合わない場合は見送りをお勧めします。